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2023年02月19日

身体への対応について、中年期と老年期との違い  老12「身体」1

 今回から、老シリーズの新しいステージ老12「身体」に入る。
 最初に、広井良典論を紹介しつつ書いた近藤克則の文を紹介しよう。
「健康課題の重点の変遷は、健康転換と呼ばれる変化として捉えることもできる。第1相の感染症を中心とする急性疾患から、生活習慣病など慢性疾患を中心とする第2相へ、そして第3相の老人退行性疾患へと、健康課題の重点が転換してきたという捉え方である。(中略)第3相では、医療のみならず福祉的な側面も合わせたケアが重要であり,年老いていく生活の場や社会環境まで健康的なものにしていく生活モデルや地域包括ケアが必要になる。」(近藤克則編著「ケアと健康」ミネルヴァ書房2016年)p3
第1相と第2相については、よく目にする。とくに第2相は、現在の医療の主流をなしているといえるだろう。それはとくに中年期を対象として語られることが多い。人間ドックや健診なども、ここに主眼があるように見受ける。65歳以上の高齢者に対しても、中年期と同じ検査項目で行われている。私も30年以上にわたって検査を受けているが、60代に入って以降、毎年同じような値と説明を受けて、何歳まで同じ検査を受け続けるのだろうか、いつ終わりにするのだろうか、という気持ちになり、やめるチャンスをうかがうようになった。老年期特有の検査項目というのがないのだ。
第3相の老人退行性疾患という表現は、わかるような感じがする。老年期、具体的には60歳以上になると、第2相への対応だけでなく第3相への対応が必要になる。大雑把なイメージでいうと、2相も3相の比率が、60歳では3対1、70歳では2対1,80歳では1対2,90歳以上では1対3になるという感じである。
対応のありようも、医療的対応とケア的対応の比率が同じように変化していく。 
 第3相における対応は、治療よりも、機能低下をとどめ機能維持ないしは回復改善をはかるケアに重点を移していく。
 このように、中年期と老年期における身体への対応の変化は重要な課題になっている。ところが、後者の対応についての経験蓄積が、社会的に薄い状況にある。いまだに医師中心の西洋医学による治療的対応が中心になっている。多様に展開されている介護を軸にするケアでさえ医師主導傾向が強い。
老人退行性疾患ともいわれるような機能低下にはいろいろとある。生殖器官の機能低下ないしは停止は、すでに中年期にほぼ終了している。目や耳などの感覚器官の機能低下も中年期から進行し、老年期に入れば、誰もがもっている状況にある。運動能力の低下も中年期にすでに生じているが、老年期になると、歩行をはじめいろいろな部位で機能低下どころか機能不全に至る例が見え始める。だが、「老いの泉」が深くかかわる脳機能については、機能低下の進行は遅い。無論、老年期特有の鬱などが出てくる。それは身体問題というよりは、対人関係が深くかかわることである。

身体への対応について、中年期と老年期との違い  老12「身体」1

写真は本文にかかわりなく、ベランダの鉢のガジマル



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Posted by 浅野誠 at 09:19│Comments(2)生き方人生
この記事へのコメント
 なるほどなるほど。
 と、読ませていただきました。

 訪問看護も、地域で過ごす方々が、その人らしく穏やかな時間が過ごせるよう努めております!
 これからも頑張りつつ、今後、どのように展開したらよいか日々考え、歩いて行きまーす!
 最近、これでよいのか悩んでいたので、元気になりました!
 
Posted by 金城里奈 at 2023年02月19日 09:32
コメントありがとうございます。お久しぶりですね。コメントいただくと、私の方も元気が出てきます。これからもよろしく
Posted by 浅野誠浅野誠 at 2023年02月19日 10:23
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