2013年11月15日
安村賢祐「日本統治下の台湾と沖縄出身教員」(2012年大里印刷)
![安村賢祐「日本統治下の台湾と沖縄出身教員」(2012年大里印刷)](http://img01.ti-da.net/usr/m/a/k/makoto2/13nen11bs002.jpg)
著者から恵美子がいただいた本を、私が読んだ。沢山の沖縄教員が戦前台湾で教職に就き、戦後沖縄に戻って活躍する例を何度となく聞いていた。詳しくは分からなかったのが、個人名、勤務校、勤務年など、丁寧に調べられているこの本で、知ることができた。
知人の親、かつての琉球大学の同僚なども登場し、人事の概況を知ることができた。
その概況について、次のように書かれている。
「沖縄出身教員の渡台は大正期末から本格化するが、その動機や背景には「教員整理」や「ソテツ地獄」、「不況からの脱出」などがあるが、その数の多さから沖縄経済の深刻さがみてとれる。昭和一二年に日中戦争が始まると、渡台者の数は更に多くなり、その数は台湾の各師範学校の卒業生、及び修了生を含めると、昭和一九年度までに六〇〇名余の教員が台湾総督府の教員免許状を取得して、台湾全土で活躍したことが分かった。」P168-9
この調査研究を入り口にして、渡台動機、教育実践、住民・子どもたちとの関係、沖縄に戻る過程、台湾経験が沖縄にどうつながったか、などさらなる研究が進むことを期待したい。
台湾教員の経験を踏まえつつ、戦後沖縄教育界のリーダーとして活躍した屋良朝苗さんに、30年以上も前にインタビューしたことがあり、戦後沖縄教育史を考える上で大きな示唆を得たことがある。
沖縄教育の把握にとって、これらの研究は重要な手掛かりを与えそうな予感があるので、今後も関心をもち、機会あれば調べていきたいものだ。