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2024年10月11日

老年期への生まれ変わりと「自営業・職人的生き方」 真最中21

「生まれ変わり」を考える際、思春期・青年期の時期が参考になる。思春期・青年期は昔からあったわけではない。日本・沖縄では60~150年ほど前に広く見られるようになった。それ以前は、大人への「生まれ変わり」の大きな区切りとして、成人式としてのイニシエーション(「死と再生」の儀式)が考えられてきた。同様に、老年期への「生まれ変わり」の儀式めいたものはどうだろうか。かつてその役割に近いもとしては、還暦祝いがあり、近親者や地域の人々が集まって祝った。沖縄では生年祝いとして、72歳、84歳、トーカチ、カジマヤーなどが行われたが、年々縮小傾向にある。゙
「生まれ変わり」を一日~数日といった短期間ではなく、長時間かけて展開する青年期は、成人期へと進んでいくための準備期間とされてきた。この延長期間はモラトリアム(猶予)とよばれてきた。では、「生まれ変わり」としての老年期は、もはや一日の祝いといった区切りを明瞭にしないまま、老熟を深めつつ、いつどこからいつどこへと展開していくのだろうか。その象徴的ありようとしてあげるとすると、次のことがある。
「勤め人」にとって、長年の職場を退職することが一つの区切りとなるだろう。そして、「勤め人」の定年退職後は、たんなる休養期としての老後ではなく、当人なりに充実した活動・生活を新たに創ろうとする。たとえば畑仕事・モノづくり(起業する場合もあるが、趣味として行うものが多い)という形で、「勤め人」的生き方から「自営業・職人的生き方」になる点に、特徴があろう。
退職後、1960年代以降一般化した「勤め人」的生き方から、1950年代以前に広く見られた「自営業・職人的生き方」に戻る意味は大きそうだ。時代の逆行ともいえそうなこのことについて考えてみたい。
「勤め人」的生き方の職場にあって、その典型ともいうべき大量生産システムのベルトコンベア作業のような働き方の広がりのなかで、自分なりの働き方をしたいという願いを持つ人は多い。そうした願いが実現しそうな職場への転職を希望する人、そうした願いを実現するために早期退職する人もいる。雇い主のほうでも、そうしたことへの配慮を強める事例がみられる。1980年代以降盛んになったQCなどは、その色彩を帯びている。また、自分なりの生き方働き方の模索を準備する思春期青年期の営みが不十分なまま職場に入って、長期の不全状態あきらめ状態に陥る例も多い。
こうしたことを背景に、老年期ないしは老年移行期において、早期にしろ定年にしろ退職後の「自営業・職人的生き方」追求が広がっているといえそうだ。
また、1970~1990年代であれば、老年期生活にとって孫育てが重要なものであったが、今はそういう例が減っている。孫がいない、孫がいるとしても50~60代前半の話で、老年期の話ではなくなっている、また孫育てがあるとしても三世代同居がまれになって一年のうちの数日間のことになっている。

老年期への生まれ変わりと「自営業・職人的生き方」 真最中21

写真は本文にかかわりなく、海岸に群生するグンバイヒルガオ



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Posted by 浅野誠 at 16:41│Comments(0)生き方人生
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