沖縄南城・人生創造・浅野誠

　大学に入ってしばらく、私にとっていろいろな面で多難な時期であり、知り合いは多くなったが、親しくなり友人と言えるほどになった人は多くない。1年生時代の出会いで記憶に残る人はといわれると、「文Ⅲ新聞」というのを数人の仲間とともに発刊したことがあるが、そのメンバーも記憶のかなたになってしまった。クラスメイトでいうと、のちに教育学研究者になる佐貫浩さんが記憶に残り、今もつながりが残っている。
　そんななかで、教育学部進学が決まる２年後期以降、徐々に付き合いが増え深まっていく。数名以内という小さな学科であり、学科メンバーで岐阜県恵那の教育実践を共同調査研究するということもあって、つながりが増えていく。上級生下級生が卒論執筆を手伝いあうという「伝統」もあった。そんな中で、高橋廉さんとは５０年を超す付き合いになった。彼が所属していた山谷地区子ども会の活動近辺にあった彼のアパートでかなりの時間共同生活をしながら卒論を執筆した記憶が印象的だ。
　他の学科を含めて学部全体で学年６０名という小規模だったこともあって、濃厚なつながりを築いていくが、彼らのなかで大学教員になったものも多く、この時期が私にとって教育学研究の基礎となる時期であった。と同時にそのころは大学闘争（紛争）の時期でもあり、苦楽を共にしたことも大きかった。



写真は、本文とかかわりなく、シュロガヤツリ