個人のつながりのなかでのアイデンティティ   沖縄随想14

浅野誠

2025年03月29日 08:49

アイデンティティを個人と地域・社会の二つのレベルで書いてきたが、さらに分け入って考えると、関係・つながりとしてアイデンティティが形成される点にも注目したい。たとえば、親しい仲間とともに、自分たちのアイデンティティを共同で形成していくのだ。それは、個人レベルの顔と地域・社会レベルを含めた関係レベルの顔をもつのだ。別の言い方をすると、単数の個人ではなく、複数の個人の中で形成するものであり、一人の個人が、いくつかのつながりを持ち、その各々のつながりが各々のアイデンティティをもつのである。職場でのつながり・位置で形成するアイデンティティ、趣味のスポーツ仲間と形成するアイデンティティ、家族関係の中で形成するアイデンティティなどが併存しつつ、からみあう。だから、個人レベルにあっても、いくつかのアイデンティティが併存するのだ。
そうした絡み合いが複雑化しつつ、それが矛盾をはらむと同時に、豊かさを持つというのが今日の特性だ。それを抑えつけることが、個人におけるアイデンティティの危機を生み出す大きな要因となろう。



写真は、本文とかかわりなく、佐敷の新開保育園の発表会での一枚。子ども自身の体形を写し取って、色をつける。子どもなりのアイデンティティ形成にかかわりがある?

関連記事