畑  中山ガイド9

浅野誠

2023年03月18日 09:09

 集落周辺から海岸までの間は、広大な畑地になっている。1980年代から90年代にかけて、土地区画整理(土地改良事業)で等間隔の農道に挟まれた細長い畑地が美しく並んでいる。この畑地は、中山の人だけでなく、隣字の玉城や奥武などの方々によっても農業が営まれている。
 60年前までは、「美田」と呼ばれた水田もあり、美味しい米ができることで評判であった。また、かつてはさつまいも栽培が多かっただろうが、いまでは米やさつまいもは栽培されていない。現在は、サトウキビ・花(電照菊・トルコキキョウ)・野菜(サヤインゲン・おくら・ゴーヤ・葉野菜など)・果物(パパイヤ・バナナ・パッションフルーツ・マンゴー)など多種の栽培がおこなわれている。観葉植物などの苗木を育てている所もあるし、養蜂も行われている。以前は、畜産向けの農地もあったが、今は見当たらない。ところどころで、山羊などの飼育は見られる。
 サトウキビは、人力収穫からハーベスター収穫へと大きく移りつつある。ビニールハウスも多い。とくに電照菊は、夜の特別な景観を生み出している。電気を夜につけることで、菊に季節感覚を間違えさせ、秋の開花を3月まで伸ばすのだ。春の彼岸の菊のほとんどが、沖縄で栽培されたものだが、その一部が中山で栽培されている。
 農業は、明るいうちに作業をする。夏は日差しが強く暑いので、朝5時過ぎから夕方7時過ぎまでの作業のうち、長い昼休憩時間があることが多い。夕方4時ころ再開するという具合だ。
 農業は、個人経営・家族作業がほとんどだが、なかには農業法人や共同会社ですすめているところもある。新しいスタイルの農業経営に挑んでいる農家もある。畑全体をひまわり畑にして、多くの人々が楽しむ場にしたところもある。農地の貸し借りが盛んで、遊休農地はほとんどない。
畑のあちこちに電柱が見られるが、電照菊や作業小屋向けに電気を運んでいる。ところどころに、飲料用の自動販売機が設置されている。農道には、農業向けの軽貨物車が並んでいる。なかには、普通乗用車が混じっている。
 住宅の庭、そしてアタイグヮー(家庭菜園)も、地域の緑の重要な部分を占める。年長者がその作業を担うことが多い。オープンしてはいないが、なかなか素晴らしい庭園がいくつもありそうだ。





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